ゴミがあふれかえり、近隣住民に悪影響を及ぼす不衛生なゴミ屋敷。
そんなゴミ屋敷に住む方は「片付けようとしない」「ゴミを集めてくる」などの特徴があり、普通に生活している方にとっては理解しがたいものです。
しかし、ゴミ屋敷住民にも心はあり、何らかの理由のもとゴミ屋敷にしているのです。
そのため、ゴミ屋敷を片付けてもらうにはゴミ屋敷住民の心理面を理解する必要があります。
今回はそんなゴミ屋敷住民の心理について紹介します。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
ゴミ屋敷を作ってしまう7種類の心理
まず始めに、ゴミ屋敷になる心理とはどのようなものでしょうか。
・片付けられないことに絶望している
片付けを投げ出している状態です。
もともと片付けが苦手だった、片付け方をよく知らないなどの理由で片付けが捗らず、どこから片付けに取り掛かればよいか分からなくなっている方です。
「片付けたいけど片付けられない」といった心理状態です。
・孤独感を埋めている
部屋いっぱいにゴミをためることで、誰もいない寂しさを埋めています。
家族や配偶者など大切な方を突然亡くしたショックを埋めるための行動として引き起こされがちです。「ためると安心する」といった心理状態です。
・なんとなくもったいなくて捨てられない
なんとなく捨てられない気持ちは誰にでもあると思います。
ゴミにすらその思いを抱いているのがこの心理状態です。
どんな物であっても「使える物」「捨てられない物」と認識してしまうため、物を拾ってきたり、集めてしまいます。
「すべて大切なもの」といった心理状態です。
・持っている物に感情移入している
全ての物に感情移入してしまい、捨てることを死ぬことと捉えてしまう心理状態です。
そのため、全ての物を捨てることができなくなり、物がたまっていきます。
「捨てたらかわいそう」といった心理状態です。
・ゴミを放置してしまう
「汚くて触れない」といった心理状態です。
片付けられないことだけがゴミ屋敷の原因ではありません。
片付けられるが汚いものには触れない方もゴミ屋敷にしてしまいます。
ある一定をこえた汚れは触れないため、放置してしまうのです。
そのため、ゴミが放置され汚くなります。
・片付け方がわからない
片付けの方法がわからない心理状態です。
片付けたい気持ちはあるが手順などがADHDなどの病気が原因で分からなくなっています。
「片付け方が良く分からない」といった心理状態です。
・ゴミの片付けに無関心
ゴミがあることに無関心な方もいます。
集中しすぎるタイプであったり、基本的な自分の生活に無関心になっている方もいます。
「ゴミがあるかどうかも分からない」といった心理状態です。
このように、ゴミ屋敷になる心理は多種多様です。
片付けられない心理になる主な原因4つを解説
では次に、この心理になる原因を紹介していきます。
原因を知ることで、片付け方のアドバイスなどが容易になるはずです。
・過度のストレス
人間は過度のストレスがかかると、うつ状態になったり精神的におかしくなってしまいます。
仕事や人間関係などの大きなストレスにより、片付けに無関心になったり、孤独感を覚えたりと問題が発生します。
・セルフネグレクト
セルフネグレクトとは自分の生活に無関心になることです。
この状態になると片付けそのものを考えられなくなります。
主に配偶者や家族の死、自分の病気など人生に絶望する出来事の発生が主な原因だそうです。
・片付けられない性格
元来の性格が「もったいない」「感情移入しやすい」などの特徴があり、何らかの原因で性格がより顕著になってしまうこともあります。
・精神疾患がある
ADHDや統合失調症などの病気で片付けの手順が分からなくなる方もいます。
認知症であれば、片付けをすること自体を忘れてしまうこともあります。
このように原因を大きく分けると、ゴミ屋敷の主な原因がストレスと病気から引き起こされているのが分かると思います。
つまり、片付けを依頼したい場合は精神的に大きなストレスがかかった場合なのか、病気で片付けられない場合なのかを見極めるようにしましょう。
ゴミ屋敷を放置すると発生する被害とは?5つのケース
ここまで説明していましたが、「あまり迷惑がかかっていないのであれば、ゴミ屋敷のままでも良いのでは」と思われる方もいらっしゃるはずです。
しかし、ゴミ屋敷の被害は多岐にわたるため、早急に改善する必要があります。
そこで、この章ではゴミ屋敷の放置により起きる危険性について紹介します。
・健康被害
ゴミ屋敷は閉め切られた空間になりやすいため、空気がこもり湿度が高くなります。
また、日の光も入らないため、病原菌が蔓延しやすい環境です。
そんな環境では、病気にかかりやすいうえ、ケガの治りも遅いです。
そんな家が近くにあれば、ゴミ屋敷住民だけでなく近隣住民へ病気が蔓延したりと健康被害が起きます。
・事故
ゴミ屋敷は物が多いため、つまずいて転んだり、ゴミが雪崩れてくるといった事故の危険性も潜んでいます。
ゴミに埋もれて亡くなった例もあるので、悲しい最期を迎えないためにも事故の危険を周知するのは大切なことです。
・害虫被害
ゴミ屋敷は不衛生であることから害虫の住処になりやすい一面を持ちます。
害虫はゴミ屋敷を本拠にしながら近くの家や部屋に出没するため、部屋を閉め切っていても近隣の家に被害が及びます。
・悪臭
ゴミから発生した悪臭は締め切っていても漏れ出すことがあります。
また、アパートやマンションなどの集合住宅では、隣だけでなく上や下の階にも臭いが漏れ出します。漏れ出せば、他の住民が快適に住むのは困難です。
・火災、倒壊
ゴミ屋敷はゴミの多さから、ホコリがたまりやすく火災になりやすい一面を持ちます。
また、物の多さからすぐに燃え広がり、簡単に消すことができません。
その火が近隣住民の家へ燃え移ったら、取り返しのつかない事故を起こすかもしれません。
さらに、ゴミの多さから家そのものの倒壊を引き起こすこともあります。
倒壊したガレキが通行人に降りかかったり、近隣住宅に当たれば、賠償は免れません。
このようにゴミ屋敷の放置は近隣住民への迷惑だけでなく、人災まで引き起こしかねないのです。
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解決するためには周囲の人の協力が必要
ゴミ屋敷住民の心理と原因を理解し、危険性も交えて説得すれば、ゴミ屋敷は解決へと向かうはずです。
ただ、ここで注意してほしいのが、ゴミ屋敷住民の大半はストレスや病気などの問題を抱えています。ゴミ屋敷の原因の解決前であれば、いくら説得しても心に響きません。
つまり、ゴミ屋敷の心理に陥っている原因を解決できる前に「汚いから片付けて」などの声掛けは逆効果ということです。
自己否定をされたと思い落ち込んだり、良く分からないことで怒られていると勘違いしてしまいます。
この心理原因を解決できるのは主に親族の方しかいません。
そのため、解決するためにはゴミ屋敷住民の親族に連絡を取り、適切な治療を受けられるようにするのが得策です。
親族だけでなく、業者や自治体の力も借りる
ただ、親族のサポートが得られなかったり、そもそも親族のいない方もいらっしゃいます。
その場合はどうしたら良いのでしょうか。
業者や自治体に頼りましょう。
業者に依頼できればすぐにゴミ屋敷を片付けることができます。
治療にかかりきりになっている時に業者が片付けを進めてくれるのは効率的です。
一方、自治体は、身寄りのない方の一人暮らしの場合に有効です。
自治体によっては一人でゴミを捨てることが難しい方のサポートが行われています。
また、道路などにゴミが出た場合は撤去のお願いなどをしてくれます。
まとめ
ゴミ屋敷は悪意や怠惰から作り上げられるものではありません。
ゴミ屋敷住民が心に抱える問題や病気などの副産物です。
近隣住民にとっては耐え難いかもしれませんが、敵意を持って接することは絶対に止めましょう。
もしかしたらいつか自分がゴミ屋敷住民になることがあるかもしれません。
そのようなときに冷たくされるのは耐え難いはずです。
そして、ゴミ屋敷は本人だけでなく親族や近隣住民のサポートがあって初めて解決する問題です。
片付けを焦ってはいけません。
この記事で少しでもゴミ屋敷の知識が深まりましたら幸いです。
お読みいただきありがとうございました。