ゴミ屋敷に住む人の生活は想像し難いものです。
「なぜあの環境で生活ができるのだろう」「どうやって過ごしているの」と気分が多少悪くなるものであると知りながらも、興味が勝ってしまう人は多いのではないでしょうか。
今回はそんなゴミ屋敷に住む人はどうやって生活しているのかとどう接すれば良いかについて紹介します。
この記事の監修者
小西 清香氏
(整理収納アドバイザー)
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。テーブルの上には書類がいっぱい、畳んでいない洗濯物の山から洋服を探す日々。そんな私でも整理収納アドバイザーの資格を取った事がきっかけで、片付けられられるようになりました。以前の私と同じように片付けが苦手な方の力になりたいと思い、片付けの仕事をしています。
ゴミ屋敷ではない
ゴミ屋敷に住む人は他の人よりも物を多く所有しています。
人はそれぞれ物の所持量に差があります。
その差によって私たちは汚い、きれいなどと判断しますが、別に物を大量に持つことが罪になるわけではありません。
また、物が少ないことで、緊急時に対応できないといった不利益も存在します。
もちろん、一般的な生活を送っている人には理解できない、使用用途の見えない物(ゴミ)や、ペットボトルに入った尿なども見つかります。
ただ、その人にとってはそれをゴミと認識していない以上、彼らにとってはゴミ屋敷ではなく普通の住まいになるのです。
そのため、ゴミ屋敷に住む人は一般的な部屋に住んでいる人と認識が異なるだけであり、起きる時間や寝る時間、仕事など特段変わった生活をしているわけではないのです。
しかし、生活スタイルは部屋が汚いため、大きく異なります。
今回はそんな生活スタイルについて紹介します。
大きな違い(ライフライン)
まずは、生活スタイルの一番大きな違いから紹介します。
物が多いと受ける不利益は、物が少ない人より大きいものです。
そのため、物が極端に多い人の中には、ライフラインである水道や電気が使えなくなっている人が存在します。
これらのライフラインが使えなければ、トイレや風呂に入ることができず、寒さや暑さの問題が発生します。
寒さの問題はたくさんの物が部屋に存在しているので、影響が出ないケースが多いようですが、暑さは物の多さが災いし、夏に熱中症で倒れてしまう人が多くいます。
また、料理もできません。
食事は中食、外食のみの生活になり、部屋にプラスチック容器などがたまっていきます。
また、飲む水も水道から確保ができないため、ペットボトル飲料などを買います。
そんな飲みかけのペットボトルが物の中に紛れて埋もれてしまえば、腐敗し、異臭を発します。
ただ、先の章でも説明した通り、たくさんの物のある部屋(ゴミ屋敷)に住む人は、自分がゴミ屋敷にいるなどと捉えて「快適ではないな」「どうやって生活を改善しよう」などとは考えてはいません。「少し物が多いな」などと考えているか、もしくは全く部屋の様子に気が回っていないのです。
生活スタイルの違い(一例)
では次に、たくさんの物がある部屋(ゴミ屋敷)でどうやって生活しているのかをさらに詳しく理解してもらえるよう、きれいな部屋との生活スタイルの違いを紹介します。
・物と一緒に生活
たくさんの物のある部屋(ゴミ屋敷)に住む人は物と一緒に共生しています。
つまり、物の上で生活をします。物の上に座ることや物の上を移動することが日常的に存在します。
・害虫(害獣)と一緒に生活
先の章で説明した異臭の問題などから、たくさんの物のある部屋(ゴミ屋敷)の大半は害虫やネズミの巣にされてしまいます。
きれいな部屋の生活に慣れている人はとても想像ができないものかもしれませんが、害虫などがいても、見かけてもお構いなしで生活をしています。
・水を使わない
先の章でも紹介しましたが、水道の停止により、水を使わないで生活をする人がいます。
もよおした際はペットボトルやビニール袋に用を足します。
・電気を使わない
これも同じく先の章で説明した通り、電気が流れてこないためエアコンや電灯が使えない人もいます。エアコンの不使用は熱中症などを引き起こします。
ただ、電気が使える人はたくさんの物の中で、テレビ鑑賞など普通の人と同じ一般的な活動をしています。
そのため、外に物が出ていないたくさんの物のある部屋(隠れゴミ屋敷)は、外部の人間からはたくさんの物のある部屋(ゴミ屋敷)と判断されにくい側面があります。
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どうやってこの状況になるのか
では、なぜこのような状況になってしまうのでしょうか。
主な原因を紹介します。
・一人での生活
たくさんの物のある部屋(ゴミ屋敷)に住む人は一人暮らしであることが多いと言われています。
その要因が、「自分さえ良ければ何でも良くなる」ことです。
つまり、自分にとって困るか困らないかで判断してしまうため、汚してしまうのです。
また、一人でいることは孤独感を引き起こします。
そのため、たくさんの物で部屋をあふれさせることで、自分の周りに何かある状況を作り出し、寂しさを紛らわせます。
一人での生活は「自分さえ良ければ構わない」との思いと、孤独感を引き起こすため、たくさんの物を部屋に置いてしまうのです。
・ADHD
ADHDとは複数の物事に注意力が及ばない症状や、正確に物事を把握できない症状を引き起こします。そのため、注意力を複数の事柄に向けることができず、片付けや掃除が長続きしません。
また、正確に物事を把握できないため、片付けの順序や優先事項が分からなくなり、片付けや掃除が思うように進みません。
・セルフネグレクト
セルフネグレクトとは自分の生活に無関心になってしまう症状を引き起こします。
そのため、掃除や片付けはおろか食事や入浴などにも興味がなくなってしまい、部屋が汚くなります。
・強迫性障害
強迫性障害は物を捨てることの恐れを引き起こすことがあるため、物をため込む状況を引き起こします。
捨てることが恐怖に感じられるので、捨てることや片付けることに強い抵抗感があります。
もちろん部屋が汚いことは分かっていますが、それ以上に恐怖が勝っています。
このほかにも、うつ病や買い物依存症、自閉症スペクトラム障害などがあげられます。
ただ、これらの状況に一貫していることは、何かの制御が利かなくなって物をためこんでしまっている点があげられます。
解決するには
では最後に、この状況を解決するにはどうやっていけば良いのでしょうか。
解決方法は意外にも一つしかありません。
それは、たくさんの物がある部屋(ゴミ屋敷)に住む人の治療を行うことです。
もちろん、原因は病気だけではなく、発達障害も含まれるためすべての人が完治することはありませんが、症状を軽くして、他人にできるだけ迷惑のかからないレベルにすることができます。
たくさんの物のある部屋(ゴミ屋敷)に住んでいる人は自分のことを病気や発達障害と認知していないケースが大半で、治療を嫌がることが大半です。
本人が病気や発達障害であると自覚してない場合は、まずは喉が痛い、お腹が痛いなど身体的な症状がでたタイミングで内科を受診し、医師と相談して心療内科を紹介してもらう方法がおすすめです。
そのため、たくさんの物のある部屋(ゴミ屋敷)が近隣にある人はたくさんの物のある部屋(ゴミ屋敷)に住む人の親族などを頼って、治療をお願いしましょう。
まとめ
ゴミ屋敷に住んでいる人はゴミ屋敷に住んでいるとは認識しておらず、その原因がどこにあるかも認識しようとしていません。
もし片付けなどをお願いしたい場合は、頭ごなしに「汚い」などと言わないようにしてください。自分の生活をけなされていると考えてしまうかもしれません。
非常に困難なことではあるとは思いますが、生活スタイルに多少の違いがある人と考えて接してあげてください。
この記事で、たくさんの物のある部屋(ゴミ屋敷)に住んでいる人がどうやって生活をしているか、そしてどう接すれば良いのか理解が深まりましたら幸いです。
お読みいただきありがとうございます。